おはようございます、古田です。
2025年1月8日のブログでは、RPAやAIなどの自動化技術が進む中で、同時に高まっている「セキュリティ」への関心について取り上げます。企業が業務効率化を実現する一方で、安全性をどう確保していけばいいのか。具体例や注意点を交えながら、一歩踏み込んだ視点で解説していきましょう。
1. 自動化が進む背景とリスク
- 業務効率化のブーム
RPAやAIを活用して定型業務を自動化する取り組みは、多くの企業で加速しています。コスト削減や生産性向上を狙い、一度成功事例が出ると急速に波及しやすいのが特徴です。 - セキュリティリスクの増加
システムが増えれば増えるほど、情報漏洩や不正アクセス、内部不正などのリスクが高まります。社内のデータフローが複雑になるため、どこに脆弱性が潜んでいるのか見えづらくなるのも問題です。
2. 自動化とセキュリティの衝突ポイント
- ロボットによるアクセス範囲の拡大
RPAロボットは、人間と同じようにシステムやデータベースにログインして作業を行うことが多いです。そのため、ロボットが不正利用された場合、人間と同等のアクセス権限を悪用されるリスクが生じます。 - 統制が追いつかないケース
開発部門や各現場が個別にRPAを導入すると、ロボットごとの認証設定やログ管理がバラバラになりがちです。結果として、監査ログの不備やロボットの重複運用が発生し、セキュリティ面で大きな穴が生じる可能性があります。
3. 安全性と効率化を両立するための考え方
- アクセス権限の厳格化
- 人間のユーザーと同様に、ロボットにも「最小限の権限」を与える原則を適用します。
- アクセス範囲を明確に限定し、不必要なシステムやデータへのアクセスはブロックする運用ルールを作りましょう。
- ガバナンス体制の整備
- ロボットの開発・運用管理ルールを社内で統一し、どのプロセスでどういう権限設定が必要かをドキュメント化します。
- 定期的な監査や運用レビューを実施し、問題が起きた際の緊急対応手順を明文化しておくと安心です。
- セキュリティ対策の多層化
- ID管理システムや多要素認証の導入、通信経路の暗号化など、人間のユーザーと同等のセキュリティをロボットにも適用します。
- AIを組み合わせた異常検知の導入で、ロボットの挙動が通常と違う際に即時アラートを出せる仕組みを整えるのも効果的です。
4. 実践事例と効果
- 金融機関のRPA導入事例
ある銀行では、RPAの操作ログとアクセスログを一元管理するプラットフォームを構築し、セキュリティリスクを抑えながら数十人分の作業負荷をロボットに切り替えました。結果として、セキュリティ監査でも高い評価を得つつ、大幅な工数削減に成功したといいます。 - 製造業における在庫管理の自動化
大手製造業ではAIとRPAを連携し、予測在庫データの取得からERPシステムへの入力までを自動化しています。導入前にセキュリティチームを巻き込み、アクセス制限や監査ログの運用ルールを明確に定義したことで、導入後のトラブルを最小限に抑えられたそうです。
5. まとめ
自動化のメリットを最大限に活かすためには、同時にセキュリティリスクとどう向き合うかが重要です。
- 最小限の権限設定
- ガバナンス体制の構築
- 多層的なセキュリティ対策
これらを行うことで、安全性と効率化を両立する自動化環境を実現できます。ロボットの稼働状況やアクセス状況を継続的にモニタリングし、定期的な見直しやアップデートを行うことが、長期的な成功の鍵となるでしょう。
次回(1月9日)は「AIとDX(デジタルトランスフォーメーション)の関係性」についてお届けします。引き続きご期待ください!